森田 俊の部分的に真であり、部分的に偽

モノゴトは六面体。当たり前に見えるモノ。少し視点をずらすと見えるモノ。背景を探すと見えるモノに俯瞰すると見えるモノ。そして、絶対に見えないモノ。

情報システムは誰のものか?

怒られた。走り出して、しばらくしたら止まった。一度落ちて、立ち上がった。そしてこけた。

なんのことなのだろうか?小さな子供のことだろうか?

いや、これは子供のことではない。実は、ITエンジニアが情報システムに対して使う言葉なのである。

 

情報システムに何かを入力した後で、「決定ボタン」などを押すと、画面に赤くエラーが表示されることがある。

例えば、ネットショッピングをするときに自宅の住所を入力することがあるが、その時によく表示される例のあれである。(多くのショッピングサイトでは、住所は全角文字しか受け付けない。)

これをITエンジニアは「怒られた」と言う。「走り出す」とは、処理がうまく稼働し始めたときに使う。そしてたまに、エラーで「止まって」しまう。

「落ちる」とは、コンピュータが停止してしまうことで、「立ち上がる」とは逆に起動することだ。そして「こける」とは、処理が異常終了して止まってしまうことを指す。

ITエンジニアは、毎日毎日、決して短くはない時間、情報システムと画面越しに向かい合っている。そして、いつしか情報システムを人のように扱ってしまう。

同じ情報システムに長くたずさわるほど、詳しくなる。いい子(扱いやすい)なのか、難しい子(すぐエラーになる、わかりにくい)なのかもわかってくる。

情報システムは自分達が命令した通りに動いてくれる。

そして、いつしか「情報システムは自分達のものである」と錯覚してしまう。

 

これは、決して悪いことではない。仕事に愛着を持つのはいいことだ。

でも、一つだけ忘れないようにしよう。

 

情報システムは誰のものか?

情報システムはそれを使っている「お客様」のものだ。だから、「お客様」に断りなく情報システムを変更してはいけない。「お客様」に十分に説明することなく、情報システムを変更してはいけない。

 

これは、ITエンジニアの基本中の基本である。これだけは、決して忘れてはいけない。