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森田 俊の部分的に真であり、部分的に偽

モノゴトは六面体。当たり前に見えるモノ。少し視点をずらすと見えるモノ。背景を探すと見えるモノに俯瞰すると見えるモノ。そして、絶対に見えないモノ。

社会人のためのマネジメント講座 組織論(その2)

(1)組織の定義

組織とは何か?組織論を語るにはまず組織とは何かを定義する必要があるでしょう。

もっとも単純な定義は

①目的があること

複数人から構成されること

の2点だと言えます。①②のいずれかを満たさない場合は組織とは言えないでしょう。

 

(2)組織の特徴

組織には

・機能的側面

・共同体的側面の

2つの側面があります。

 

「機能的側面」では、目的に対していかに最適に要員を配置するかが最重視されます。

農耕社会における組織のメタファーは「建物」でした。「この人は組織の柱」だとか「組織の土台を築く」といったように建物に喩えて組織が語られました。

工業社会における組織のメタファーは「機械」です。いい組織は機械のように機能します。機械には明確な目的があります。機械は自然に発生したりもしないし、すべての部品が何かの機能を果たす必要があります。そして、誰かがスイッチを入れれば動き出します。

 

「共同体的な側面」では、組織内の構成員の交流や、コミュニケーション、結びつきが重要視されます。共同体の結束を高めるための社員旅行や運動会、ゴルフコンペなどは定番のイベントでしょう。

堺屋太一著「組織の盛衰―何が企業の命運を決めるのか」では、このような共同体的な組織を、官僚組織を引き合いにしてばっさりと切って捨てます。著者によれば、本来「機能型組織」として組織された官僚組織が、構成員の利益を優先する「共同体型組織」に移行することで腐敗したということです。構近年では、橋元市長により、多くの不正が曝け出された大阪市の例が思い浮かぶでしょう。

 

では、ネットワーク社会である今、我々はどういった組織を目指せばいいのでしょうか?機能型組織を更に強化し続けるべきなのでしょうか?あるいは、コミュニケーションの活性化と人材の多様性を推し進めて、腐敗なき共同体型組織を目指すべきなのでしょうか?

 

(3)ネットワーク社会で目指すべき組織とは?とその前に・・・

皆さんは「なにわ金融道」という漫画をご存知でしょうか。

この漫画から面白いエピソードがあるので紹介します。

漫画の主人公である灰原は、大阪のミナミにあるとある街金で働いています。ある日、この街金に小さな工務店の店主が相談に訪れます。彼の相談は、部下の一人が工事現場で、現場の安全基準であるヘルメットを着用しないので困っているというものでした。店主が厳しく指導すると最初は指示に従ったふりをするが、しばらくすると暑いからと言ってヘルメットを脱いでしまうのだそうです。工事現場でヘルメットをかぶるのはルールなので、何かいいアイデアはないかと彼は尋ねます。

灰原は、彼の業務範囲外なので相談を断ろうとしますが、ここで上司の桑田があるアイデアを出します。このアイデアが功を奏して、部下はヘルメットを率先してかぶるようになったと工務店の店主から大変感謝されました。

では、このアイデアとは何だったのでしょうか?それは、ヘルメットを着用しない部下を「安全責任者」に任命するといったものでした。(もちろん賃金は現状維持のままです。)

「安全責任者」という役割を与えられた部下は、今までの意識とは180度変わりました。なんだか偉くなった気がして、過去の自らの行為が恥ずかしくなったそうです。現場の安全確保という問題に対して、役割を明確に与えられたことにより主体的に取り組むことができるようになったのです。

 

(4)ネットワーク社会で目指すべき組織とは?

ネットワーク社会おいては、組織そのもの境界線が不明確になります。

組織とは、そもそも物理的なものではなく認知の問題なのでどこまでを組織と捉えるのかが人によって異なってきます。

企業内のマネジメント単位である部課は存続するでしょうが、これは人間がマネジメントできる限界を考慮して線引きしているだけなので、本来の最適な組織ではありません。(これは会社員であれば誰でも知っています。)

ネットワーク社会の組織のメタファは「庭」です。「庭」にはいろいろな木々が芽を咲かせ、花を咲かせます。石がかげをつくりだし、そこに苔がむします。それぞれが、庭を構成し、角度によって見るものを楽しませます。

庭は開かれています。隣の芝生が青く見えれば、今いる庭を退出して隣の庭に移動すればいいのです。

 

(5)新しい組織でのルール

そして新しい組織では、新しいルールが必要になります。

新しい組織では、構成員全員に役割が与えられます。役割を与えられることにより、人は組織の中で主体的に活動できるようになるのです。そして、これが組織を発展させる最大の原動力になるのです。

 

<従来のルール>

組織の構成メンバーは業績そのもの、または業績に辿り着く過程の何かしらの数値により評価される。業績の達成が(唯一ではないかもしれないが)最大の評価基準なので、ゲームに勝つためには、自らの時間を最大限投入することいなる。評価のリターンはお金のみである。

 

<新しいルール>

組織の構成メンバー全員が、組織上重要な役割とポジションを与えられる。メンバーはこの役割の達成度により評価される。評価のリターンは、お金、およびメンバーからの評価、感謝、承認である。

 

 参考: 

組織を変える「仕掛け」 (光文社新書)

組織を変える「仕掛け」 (光文社新書)